夢のある就職活動を

コラム

就職活動は過酷です。どこまで努力しても、努力に見合った成果が出るとは限りません。多くの学生が自分のやりたいことを見つけ切れずに就職活動に巻き込まれ、方向性を見失い、いつのまにか手当たり次第に就職活動して、結局すべて不採用で終わることもあります。何がいけないのでしょうか。

これに関してはいろいろな分析がありますが、学生が社会に出る最後のステージで、既に気づいているべきことに、いまだに気づいていないことに原因があるとみることもできます。それはつまり、社会の本当の姿は、決して平等でも公平でもない、という事実です。

どの企業も、社員ひとりひとりの生活をかけて必死で活動しています。就職活動している学生諸君は、自分を採用したらもっと儲かるんだ、と思わせるような何かを相手に伝えなければなりません。わかりきったことなのに、それを実現するような具体的な素材を用意するでもなく、ましてや素材もないのにそう思わせられるような、とびきりの口達者が育っている、という事実もないようです。つまり、勝利を勝ち取る戦略もないまま、ただがむしゃらに突っ込んで負け続けているに過ぎません。これは、「一生懸命やれば誰でも救われる」という考え方なのでしょうか。工学を学ぶ者の考え方とは正反対だと言っても過言ではないでしょう。うまくいく方法を考えること、ないものは自分で創り出すこと、そして、時間や費用やエネルギーをなるべく使わずに目的を達成することが、工学的には美しいわけですから。

平等でも公平でもない、という現実を受け入れず、宝くじも無限に買い続ければ当たるはず、という幻想に頼って行動するひとに、限られた時間のうちに成功が訪れる見込みはありません。自分のことを売り込む素材を急いで作って、それを武器にすることが大事です。どういう素材がウケるかは、相手の立場から考えれば明らかでしょう。逆境を克服してV字回復した復活経験、他を出し抜いて勝利をつかんだ成功体験、偶然やツキが最大限に味方した、一種のわらしべ長者体験など、どれも企業がいざというときに必要とする社員の底力を暗示する、おいしい素材です。そういった経験を一切していないままでは、今後そういう経験ができるかどうか、相手にとっても自分にとっても確信が持てないでしょう。

失敗を恐れる人はこういう体験をほとんど持ち合わせていません。逆に失敗を恐れないひとは、陰でいっぱい失敗していますが、気にしません。そして成功もいくつか体験し、そしてそれはまた再現するのです。そんな人材がいれば、いつかまた他社を出し抜くかもしれないし、次々にツキがまわって大成功するかもしれないし、不況や業績不振をその行動力で吹き飛ばして回復させてくれるかもしれません。君の瞳の中にそんな可能性が見えるなら、その夢を買ってみようじゃないか、と思う採用担当者は少なくないはずです。

参照:人事・就職担当者の皆様へ

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